花卉園芸植物から単離したフラボノイド生産促進遺伝子EFP(Enhancer of flavonoid production)の解析

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  • Isolation and characterization of Enhancer of Flavonoid Production genes from floricultural crops

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抄録

アントシアニンは，植物二次代謝産物の一種，フラボノイドに分類される色素化合物である。アントシアニンが，赤や紫，青色などの多彩な色調の花色発現に関わる一方で，同じくフラボノイドの一種のオーロンは，黄色い花の花色素として知られる。花の濃淡は，花弁細胞に蓄積するこれら花色素の濃度によって決まり，濃くなるほど色が濃く鮮やかになる。近年，アサガオの花色突然変異体を用いた解析から，アントシアニンのみならず，フラボノドイド全般の生合成へ促進的に働く新規因子，Enhancer of Flavonoid Production(EFP: フラボノイド生産促進因子)が同定された。EFP遺伝子は，フラボノイドを生産する陸上植物のゲノム中に広く存在するため，植物のフラボノイド生合成に広範囲かつ重要な役割を持つことが予想されている。しかし，その解析例はアサガオを含め限られた植物種にとどまっている。そこで，我々は，多彩な色調の花を咲かせる花卉園芸植物とEFP遺伝子の関係について調査を行った。主要な切花品目であるカーネーション，キクからEFP遺伝子の単離を行い，アントシアニンの蓄積がみられる花弁の蕾から開花にかけてmRNAの発現が増大することを確認した。加えて，オーロンを蓄積し，黄色の花を咲かせるキンギョソウの花弁においてもEFP遺伝子の発現を確認した。これらの結果は，EFP遺伝子が種々の花卉園芸植物の花色発現，特にアントシニアンやオーロンなどのフラボノイド生産を促進することで花色の濃淡の制御に関わることを示唆している。

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