水稲新品種「ゆめおばこ」の育成

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タイトル別名
  • Breeding of a new rice cultivar 'Yumeobako'
  • スイトウ シン ヒンシュ 「 ユメオバコ 」 ノ イクセイ

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抄録

1)「ゆめおばこ」は中生の晩で倒伏に強く安定生産可能な良質・良食味品種を目標に、「岩南8号」を母、「秋田58号」を父として人工交配した後代から育成された粳種である。2)交配は1995年に温湯除雄法によって行い、F1、F2を翌1996年に温室栽培によって世代を進めた。1997年にF3で個体選抜を行い、以後、系統育種法により選抜された。3)2007年11月に「ゆめおばこ」の品種名で種苗法に基づく品種登録の出願し、2008年4月は秋田県の奨励品種に採用された。4)出穂期、成熟期ともに「ひとめぼれ」並で、早晩生は“中生の晩”である。5)稈長は「ひとめぼれ」並の“やや長稈”、穂長は「ひとめぼれ」、「めんこいな」並、穂数は「めんこいな」とほぼ同じで草型は“中間型”に属する。6)稈の太さは「ひとめぼれ」並の“中”であるが、稈の剛柔は「めんこいな」並の“やや剛”で耐倒伏性は「めんこいな」並の“やや強”である。7)粒着密度は「めんこいな」、「あきたこまち」並の“中”で、極少程度短芒を有し、穎色は“黄白”、ふ先色は“白”、脱粒性は“難”である。8)収量性は「ひとめぼれ」、「あきたこまち」より明らかに高く、「めんこいな」並の多収品種である。9)いもち病真性抵抗性遺伝子型は、PiaとPiiを所有するものと推定され、圃場抵抗性は、葉いもちが「ひとめぼれ」、「あきたこまち」よりも強い“中”、穂いもちが「ひとめぼれ」、「あきたこまち」よりも強い“やや強”でる。障害型耐冷性は「ひとめぼれ」並の“極強”、穂発芽性は「めんこいな」並の“中”である。10)玄米の品質ランクは“上中”、大きさは“中”、形状は“やや長”である。千粒重は「ひとめぼれ」、「めんこいな」、「あきたこまち」より大きい。11)食味は「あきたこまち」並に良好で、「あきたこまち」と比較して食感が柔らかいという特徴がある。12)適応地域は栽培特性、熟期からみて県南内陸平坦部を中心とした秋田県内平坦部一円で、10,000ha程度の普及が見込まれる。13)穂発芽が“中”と不十分であることから、適期刈り取りに努める。耐倒伏性は“やや強”であるが、安定的に良質米を得るために多肥栽培は避ける。

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