期間産卵率のアークサイン変換が高産卵鶏群の遺伝的パラメーターの推定および選抜に及ぼす影響

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  • Influence of application of arcsine square root transformation for egg production rate on the estimation of genetic parameter and selection in high performance layers
  • キカン サンランリツ ノ アークサイン ヘンカン ガ コウサンラン ケイグン ノ イデンテキ パラメーター ノ スイテイ オヨビ センバツ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

高産卵鶏群において期間産卵率の分布は局在し,遺伝的パラメーターや育種価の推定に際して,検出力の損失による母数効果の推定効率の低下と誤差分散の不均一性を招く恐れがある。その解決方法の一つとして使われているアークサイン変換について,6世代にわたって家畜改良センター岡崎牧場で飼養しているロードアイランドレッド(RIR)の系統,白色レグホン(WL)の系統および横斑プリマスロック(BPR)の系統における産卵率(24週齢から39週齢までの期間産卵率(EPF),44週齢から59週齢までの期間産卵率(EPS))と35週齢の卵質を調査し,遺伝的パラメーターおよび選抜に及ぼす影響と品種間の差異を比較した。EPFおよびEPSは,BPRのEPSを除き,アークサイン変換により歪度が0に近くなり,遺伝率が0.01~0.02ほど高くなった。RIRとWLの産卵率と一部の卵質形質で遺伝相関の正負が逆転した。6世代目のRIRおよびWLにおいて,産卵率における推定育種価の順位相関係数は,アークサイン変換の有無により,EPFで0.94前後,EPSで0.94または0.97となり,切断型選抜では選抜鶏の2~3割が入れ替わった。BPRでは,選抜にほとんど影響のないことが示唆された。アークサイン変換により推定育種価の標準化選抜差は,RIR雌鶏のEPFとWLの全ての形質で大きくなった。これらのことから,分布の局在する産卵率にアークサイン変換を用いた場合,分布に正規性をもたらすとともに,遺伝率が向上することから,期間産卵率の評価に有効であることが示唆された。また,一部の形質で,選抜効率の向上することも示唆された。

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