バラの施設密閉高温処理によるミカンキイロアザミウマの防除

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タイトル別名
  • Control of western flower thrips, Frankliniella occidentalis (Pergande) with high temperature by solar heating in plastic house of rose
  • バラ ノ シセツ ミッペイ コウオン ショリ ニ ヨル ミカン キイロ アザミウマ ノ ボウジョ

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抄録

バラにおけるミカンキイロアザミウマの防除法として,施設密閉高温処理について検討した。1. ミカンキイロアザミウマを45℃または48℃の人工気象器内に入れて雌成虫,2齢幼虫の死亡率を調査した。雌成虫は45℃で8分間以上,48℃で6分間ですべて死亡した。2齢幼虫は45℃で10分間以上,48℃で7分間ですべて死亡した。幼虫と一緒にインゲン葉のリーフディスクを入れると48℃15分間でも生存虫が認められた。幼虫は雌成虫より高温耐性があると考えられた。2. バラ栽培ビニールハウスにおいて施設密閉高温処理を実施し,ミカンキイロアザミウマの密度抑制効果を検討した。夏季の日中の晴天時にビニールハウスを密閉し,ハウス内の地上高150cmの温度が48~55℃に達した時点で直ちに換気して常温に戻した。密閉時間は19~42分間であった。1)成虫は高温時に株元などハウス内の比較的温度の低い場所へ一時的に避難し,処理終了後に花に再飛来すると考えられた。成虫に対する効果は低いと考えられる。2)バラの花に生息する幼虫に対して殺虫効果はあると思われる。3)バラのがく片に産み付けられている卵に対して殺卵効果は高いと考えられる。4)バラでは,同化専用枝の下が高温処理時の成虫の一時避難場所となり,また同化専用枝に咲く花が密度回復ための増殖源となるため,施設密閉高温処理は1回の処理では十分な防除効果が期待できない。5)バラでは,施設密閉高温処理を連続して複数回実施すれば,ハウス内全体のミカンキイロアザミウマの発生密度を低下させることは可能と考えられる。3. 施設密閉高温処理により,バラに軽度の葉焼け症状が認められる事例があった。高温障害については詳細な検討が必要である。

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