輸入検疫で発見されたシャクナゲ類疫病(新称)

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  • Ramorum blight of Rhododendron sp. caused by Phytophthora ramorum intercepted in plant quarantine inspection in Japan

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抄録

2015年2月、英国から国際郵便で輸入されたセイヨウシャクナゲの検査で、葉が暗褐変し、葉裏に菌叢のある苗を発見した。被害部位よりPhytophthora属菌が高率に分離され、培養寒天の貼り付けによる有傷接種で原病徴を再現し、再分離された。また、アセビやツバキに病原性を示した。分離菌はCarrot piece agarで厚壁胞子を豊富に生じ、遊走子のう柄は仮軸状、遊走子のうは楕円形~紡錘形でL/B比は1.7-2.5(av. 1.9-2.0)、脱落性で柄は短く、乳頭突起は不明瞭。P. cryptogea A2株との交配により有性器官を生じ、造卵器は球形で造精器は底着性、卵胞子は充満性。大きさは、遊走子のう30-85×18-36(av. 54-56×27-28)μm、厚壁胞子26-78(av. 52-56)μm、造卵器33-45(av. 37-38)μm、造精器9-18×10-18(av. 13×15)μm、卵胞子28-41(av. 34-35)μm。生育適温は20℃(菌糸生長3.0-3.2mm/日)、30℃では生育しない。以上の特徴及びrDNA-ITS遺伝子領域の塩基配列の相同性からWerres et al.(2001)に基づき、本菌をPhytophthora ramorum Werres De Cock and Man in't Veld.と同定した。本病は我が国未報告のため、病名に疫病(Ramorum blight)を提案する。

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