SSRマーカーを利用した‘万願寺とうがらし’(Capsicum annuum L.)の親子関係分析

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  • Parentage analysis of pepper cultivar 'Manganji' (Capsicum annuum L.) characterized by SSR markers

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‘万願寺とうがらし(万願寺)’は、20世紀初めから舞鶴市で栽培されてきた。この‘万願寺’は、‘伏見甘長とうがらし(伏見)’と‘カリフォルニアワンダー(CW)’との交配によるものと言われてきた。しかし、これらの品種の親子関係は証明されていない。そこで、本研究では、113個のSSR(simple sequence repeat)マーカーを用いて、6品種について分析を行った。トウガラシ属アニューム種の‘万願寺’、‘伏見’、‘CW’、‘LS2341(マレーシア原産)’、およびトウガラシ属キネンセ種の2品種の間で多型のあった93個のSSRマーカーから進化系統樹を作成した。その結果、アニューム種の4品種とキネンセ種の2品種は2つのクラスターに明確に分かれた。アニューム種内では、‘万願寺’と遺伝的に最も近い関係にあるのは‘伏見’、次いで‘LS2341’であり、‘CW’は、最も遠縁であった。‘万願寺’、‘伏見’および‘CW’の間では、SSRマーカーの76遺伝子座で、多型があった。この76遺伝子座のなかで、‘万願寺’と‘伏見’の間で、33遺伝子座(43.4%)において同じ対立遺伝子(アリル)を持っていたが、‘万願寺’と‘CW’の間では、10遺伝子座(13.2%)のみアリルが一致した。‘CW’とは対照的に、‘LS2341’のアリルは、32遺伝子座(42.1%)において‘万願寺’と一致した。その他の33遺伝子座(43.4%)では、‘万願寺’のアリルは、‘伏見’および‘CW’の両方と異なった。交配親の仮説と今回の分析結果は、大きく矛盾しており、‘万願寺’が‘伏見’と‘CW’の後代であるという仮説は否定された。‘万願寺’は、近代の西洋品種よりも、古いアジアの品種と近い関係なのかもしれない。

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