F. スコット・フィッツジェラルド作品における肖像画のイメジャリ : ゴシック的アプローチを通して

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タイトル別名
  • The Imagery of the Portrait in F. Scott Fitzgerald's Works: Reading as the Gothic-Surface Narrative
  • F. スコット・ フィッツジェラルド サクヒン ニオケル ショウゾウガ ノ イメジャリ : ゴシックテキ アプローチ オ トオシテ

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抄録

本稿ではゴシック研究の重要なテーマである「surface(表層)」を肖像画のモチーフに絞り,フィッツジェラルドの初期二長編を主たるテクストとして検分する。デビュー作This Side of Paradise(1920),長編第二作The Beautiful and Damned(1922)においては,twin, doubleといった語を始め種々の表現で,主人公の男女の同一性ないし一体性が作中に示される。「表層の物語」たるゴシックとしてこれらのフィッツジェラルド作品を読み直すとき,そこにはロマンティック・ラブ・イデオロギーを成就してヒロインたちが三次元に立ち上がることを(作家が)許さなかった,二次元の物語=肖像画の物語=表層の物語という構図が確認できる。「ロマンティック」な作家フィッツジェラルドの「ロマンティック」な作品においては,男女の主人公たちの“romance”(恋愛-物語)を二次元に抑圧する装置としてゴシックが機能している様子がうかがわれるのである。

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