台湾の正体字フォントの標準字体化とその普及に関する一考察

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タイトル別名
  • A Study on Traditional Chinese Fonts in Taiwan
  • タイワン ノ ショウタイジ フォント ノ ヒョウジュン ジタイカ ト ソノ フキュウ ニ カンスル イチ コウサツ

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抄録

本稿は,台湾で過去において標準字体に準じていなかったコンピュータ用のフォントが標準字体に改められ普及にまで至った事例に着目し,昨今の正体字フォントが教育部により整理された標準字体に準じる流れを考察することで,現在台湾の一般用途で広く使われる正体字フォントの現状を見出すことを目的とした。その為に,第一に教育部が行った文字整理からフォントと関連する事項をまとめ,第二にそれが手書きの規範からフォントになるまでの経緯を整理した上で,第三に一般社会で広く使用されるWindows に付属するフォントと標準字体の関係および現状を考察し,最後に実際の公文書等における文書作成および教育分野に関する事例,ならびに漢字の書き方を特に強調して指導する必要のあるとされる教育分野の一例として華語文教育における教科書のフォントについて考察を行う。その結果,次の二つを結論とした。⑴ 1970 年に教育部を発端とした字形画一化は,現代のコンピュータ上におけるフォント標楷體がWindows の普及に付随し一般社会に浸透したことで,画一化された段階である。⑵現在の台湾では,使用者がフォントの種類を変更するなどして標準字体に準じたフォントを選んで利用するのではなく,2006 年頃に従来のフォント自身が標準字体に置き換えられた。これにより,初期設定では標準字体による印刷のみが可能となっていることが特徴的であると言える。

収録刊行物

  • 拓殖大学台湾研究

    拓殖大学台湾研究 2 79-100, 2018-03-25

    拓殖大学海外事情研究所附属台湾研究センター

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