SEC監査規制史におけるマッケソン&ロビンス事件

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タイトル別名
  • SEC カンサ キセイシ ニ オケル マッケソン&ロビンス ジケン
  • SEC kansa kiseishi ni okeru makkeson & robinsu jiken
  • The McKesson Robbins case in audit regulatory history

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抄録

type:text

SECによる監査規制史という観点からマッケソンロビンス事件の意義を考察しようとするのが本稿の目的である。1938年末に発覚したマッケソンロビンス事件に直面して, 証券取引委員会(SEC)は, 監査を担当していたプライス・ウォーターハウス会計事務所(PW会計事務所)が行なっていた監査手続を当時の"一般に認められた監査手続"という観点から検討するための本格的な調査を行なった。そのために開催された公聴会では, 会計プロフェッションを横断的に代表する会計士たちの意見を聴取することを通じて一般に認められた監査手続を明確にするという目的で, 大手ないし中堅会計事務所のパートナーたちに専門家証人として証言させた。  本稿では, PW会計事務所によって実施された監査に対するこのような調査の結果, SECがこの事件に対してどのような理解をしたのか, PW会計事務所によって実施された監査手続に対する評価だけでなく, とくに, 一般に認められた監査手続をめぐってどのような理解を持ったのかを, SECの公表した調査報告書に基づいて, 分析している。  結論として, 本稿では, この事件に関連して, はじめてアメリカ会計事務所による監査実務の水準について検討される場が持たれたこと, また, そこで監査プロセスのほとんどの局面に関わる論点について徹底的な検討がなされ, その成果がそれ以降のSECの監査規制の基礎となっていると思われることを強調している。 This article examines the historical significance of the McKesson & Robbins case in a context of audit regulation by the Securities and Exchange Commission (SEC). In the face of audit failure at McKesson, the SEC apparently opted for a comprehensive investigation for the purpose of determining the audit procedures actually employed by McKesson's auditor, Price, Waterhouse & Co. from the viewpoint of "generally accepted auditing procedures." The article analyzes not only SEC's evaluations on the actual procedures but also its understanding of generally accepted auditing procedures, based on its investigation report published. The article further attempts to interpret an SEC's regulatory intent concerning the auditing practices.

論文

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 55 (1), 17-52, 2012-04

    慶應義塾大学出版会

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