J.E.T. ロジャーズによる歴史の経済的解釈

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タイトル別名
  • J.E.T. Rogers on Economic Interpretation of History
  • J E T ロジャーズ ニ ヨル レキシ ノ ケイザイテキ カイシャク

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抄録

経済学史上,イギリス歴史学派と呼ばれる集団は,研究上の共通の傾向をもつ緩やかな潮流というべきものであった。そのなかでもロジャーズ(James Edwin Thorold Rogers, 1823-1890)は,この学派の緩やかさを象徴する人物であった。彼は,古典派およびマンチェスター派の影響下で研究を開始しながら,しだいに歴史学派の方向へと進んだ。しかし,その移行は不徹底であり,初期の特徴が最後まで色濃く残ることになった。本稿の課題は,ロジャーズおよび歴史学派の方法論に焦点を当てて,彼がどのような意味で歴史学派の方向へ進んだと言えるのかを明確にすることにある。彼は,初期の代表作『イングランドにおける農業と価格の歴史』第1・2巻(1866年)で精力的に歴史研究に取り組み,その意味で,「所与の事実の優先性」という歴史学派の特徴を有する研究を行った。しかしその研究は経済理論を例証するためのものであり,古典派と対立するものではなかった。後期の代表作『歴史の経済的解釈』(1888年)では,「説明の個別性」という歴史学派の観点がはっきり表れる。すなわち,まず特定の事実に注目し,それを説明することを歴史研究の課題とするようになるのである。

収録刊行物

  • 經濟學研究

    經濟學研究 61 (1-2), 1-20, 2011-09-08

    北海道大学大学院経済学研究科

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