『ゴジラ』シリーズをめぐる言説の変化と問題点 : 一九五四年から現在の新聞報道を軸として

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抄録

コンテンツ文化史学会2018年度大会 : コンテンツ文化史研究の十年. 2018年11月17日~2018年11月18日. 東京大学本郷キャンパス, 東京都.

二〇一六年の『シン・ゴジラ』公開後には、『ユリイカ』で特集が組まれたほか、評論家、学者らによる多くの研究書、評論が世に出た。その多くが、虚構である本作品を現実社会の状況と結びつけて論じるというものであった。『シン・ゴジラ』の惹句である「現実対虚構」は、虚構作品を現実の視座から語るという言論の現出とも響きあうかのようであった。だがこれは、怪獣映画をめぐる状況を通史的に見たときには特異なことと言える。怪獣映画は誕生からしばらくの間、論評の対象とはなってこなかったのである。本研究では、当初「ゲテモノ」「珍品」と酷評されていた『ゴジラ』シリーズが、どのようにして論評の対象となっていったのかを追究する。怪獣映画の代表作である『ゴジラ』シリーズをめぐる言説の変化には一九七〇年代以降のアニメファン文化の興起なども関わっていると考えられ、特撮作品、ひいてはアニメ等を含むポップカルチャー全般に対する社会の受容の様相がどう変化していったのかを知る手がかりにもなるのではないかと考えている。調査対象は主に新聞(『読売新聞』『毎日新聞』『朝日新聞』)とする。映画マニアを対象とした映画雑誌、特撮マニアを対象とした特撮専門誌等と異なり、新聞はより広く一般に向けたメディアであることから、より一般的、通俗的で普遍的な意識を読み取れると考えたからである。(本研究では、『ゴジラ』と表記したときには、一九五四年公開の『ゴジラ(第一作)を』指す。)

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  • CRID
    1050845763993695488
  • NII論文ID
    120006711972
  • HANDLE
    2115/75103
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    conference paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

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