On Removing the Punishing Element from "Punitive Damages" in Copyright and Patent Law
Bibliographic Information
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- 著作権法と特許法における「懲罰的賠償制度」の非懲罰性
- チョサクケンホウ ト トッキョホウ ニ オケル 「 チョウバツテキ バイショウ セイド 」 ノ ヒチョウバツセイ
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著作権法と特許法で追加的損害賠償を導入するにあたり、懲罰目的を追求しない場合、「懲罰的賠償」という用語はイノベーションに関する規則の体系についての誤解を招く。イノベーションに関する領域の救済制度の上限は、権利侵害に対する最適な予防の範囲に留まるべきだが懲罰の本質は予防目的とは別の制裁にあるため、最適な予防と懲罰の両者が併存することはできない。イノベーションには連続性があり、後続のイノベーターにとって、既存のイノベーションについての財産権を回避することは、しばしばネックとなり得る。よって、適切なイノベーションに関する規則は、過去のイノベーターを保護するだけではなく、末来のイノベーターにもインセンティブを与えるものでなくてはならない。また、集団的合理性の観点から知的財産権の境界線を曖昧にしておくことを選択した場合、末来のイノベーションに大きな権利侵害のリスクをもたらすこととなる。この場合、救済制度で、補填不足や予防不足のほかに、イノベーション活動に対する必要以上の過剰な予防についても警戒する必要がある。著作権・特許権分野において、追加的な損害賠償を導入する主な目的は、完全な損害補填を実現することと、特殊な状況下で、マクロレベルで最適な予防を追求できるようにすることである。よって、ここでは予防の範囲を超えた、非功利的な懲罰効果を追求するべきではない。「非懲罰性」の原則は、追加的損害賠償の要素に対する従来の理解を改め、それを捕捉するものであり、一連のイノベーション制度の目的に合う損害賠償制度の規範についての啓示をもたらす。著作権法・特許法の領域で、「非懲罰性」は追加的損害賠償と損害補填の原則の衝突を緩和し、主観的要件が損害賠償にもたらす不確定性を減少させる。ここで加重する賠償の程度は、後続のイノベーターが知的創造物のために捻出したイノベーションの程度に比例すべきで、権利侵害者の支払能力と関連付けられるべきではない。可能であれば、裁判官が他の救済手段による抑止効果と比較考量をすべきという前提のもと、損害賠償が追求する最適な予防を確立すべきである。
Journal
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- Intellectual property law and policy journal
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Intellectual property law and policy journal 54 1-40, 2019-10
北海道大学情報法政策学研究センター
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050845763995314944
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- NII Article ID
- 120006764192
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- NII Book ID
- AA11913587
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- HANDLE
- 2115/76020
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- NDL BIB ID
- 030041491
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- ISSN
- 18802982
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- departmental bulletin paper
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- Data Source
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- IRDB
- NDL
- CiNii Articles