教材研究「やまんばのにしき」(大阪書籍『小学国語』3下)

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子どもを産んだちょうふく山の山んばから、餅を搗いて持ってくるように要求された村人たちの請いを受けて、あかざばんばは餅を運搬するだだ八・ねぎそべの道案内をすることになった。しかし普段乱暴者で通っていただだ八・ねぎそべの二人は、途中予期せぬ大風に恐れをなして麓へ逃げ降りてしまう。山中一人残ったばんばは、気をとり直して頂上の山んばの小屋まで到り、餅をもってきたことを告げ、熊のすまし汁を馳走になり、更に頼まれて二十一日間産後の山んばの世話をする。その後約束の期間が過ぎ山んばの産んだ子がらに乗せられて無事麓の村に送り届けられた。ばんばは山んばからみやげとして贈られた、いくら切り取っても翌日には元通りになるという不思議な美しい錦を惜し気もなく村人に分け与え、以後村人たちは風邪もひかずに暮したという。 このような筋をもつ松谷みよ子「やまんばのにしき」は、瀬川康男画の絵本として昭和四十二年五月にポプラ社から刊行された。更にこの話は、小学校国語教科書のうち、日本書籍版・大阪書籍版のそれぞれに採択されている。本稿ではこの民話教材が原話をどのように継承して成立し、どのような性格を有しているかを明らかにし、その成果の上で、現行の大阪書籍版教材に即して、指導上どのような点に留意すべきか、考察してみたい。

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  • 島大国文

    島大国文 25 93-104, 1997-02-28

    島根大学

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