Inspect the Deduction for Employment Income Theoretically

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  • 給与所得控除に関する理論的検証
  • キュウヨ ショトク コウジョ ニ カンスル リロンテキ ケンショウ

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P(論文)

給与所得の持つ独特の性質のため当該所得を得るために必要とした経費の客観的な測定は困難とされており,現在我が国所得税法に認められている給与所得控除は,「手厚い保護」であるとか「過大な控除」であると悪評を高めるほどの控除が認められるに至る。そこで,所得税全体における必要経費の意義と給与所得控除のあり方,給与所得控除の沿革と性格,過去の給与所得に関する主な判例,諸外国における給与所得に関する控除の現状,評価の問題を検証することにより,給与所得控除の実額控除制度化の可能性について検証した。上記検証から,理論上は給与所得の必要経費実額控除の制度化は達成されるべきであることが理解できるが,実際は必要経費について家計費との厳密な区分や客観的な数値による測定の困難性が存在し,さらに給与所得に対する必要経費の実定法上の規定がないことから困難を要する。よって,給与所得控除の「把握控除」としての側面を考慮し「給与所得実額特別控除」として一定額の控除と,現行において給与所得の必要経費として客観的な数値の測定が可能であるとされている「特定支出控除」の5項目とを組み合わせたものを給与所得控除として認めるべきである。そして現行の給与所得控除の額を「手厚い保護」であるとか「過大な控除」とならない程度への引き下げを行い,上記控除との選択適用を認めることも同時に認めるべきである。このような制度を設けることで給与所得者と事業所得者等の公平もある程度是正され,給与所得者の確定申告を行う機会を増大させることにより政治への参加意欲を向上させることも可能となろう。

Journal

  • 千葉商大論叢

    千葉商大論叢 40 (3), 193-221, 2002-12-31

    市川 : 千葉商科大学国府台学会

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