マイクロアレイ発現解析及びSNP相関解析による無精子症感受性遺伝子の限定

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  • マイクロアレイ ハツゲン カイセキ オヨビ SNP ソウカン カイセキ ニ ヨル ムセイシショウ カンジュセイ イデンシ ノ ゲンテイ
  • Identification of Susceptibility Genes for Azoospermia using Microarray Gene Expression Analysis and SNP Association Study

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抄録

【目的】精巣生検(TESE)時に採取した精巣組織を用いたマイクロアレイ発現解析と,ゲノムDNAを用いたSNP相関解析を組み合わせ,無精子症感受性遺伝子を限定する.【方法】マイクロアレイ解析には非閉塞性無精子症(NOA)47症例および閉塞性無精子症(OA)11例の精巣組織から抽出したRNAを対象とし,HumanOligoIA(V2)(約2万遺伝子.Agilent)を用い,referenceとしてHuman Testis Total RNA(BD Biosciences)と比較して遺伝子を限定し,NMF(非負値行列分解アルゴリズム)解析によるNOA症例のサブクラス分類を行なった後,各群間で有意な発現変化を認める疾患感受性遺伝子群を抽出した(Tukeytest P<0.01).SNP相関解析では各遺伝子上に約10kb間隔でSNPを設定,ABI7900(Applied Biosystem)によるTaq-Man法にてタイピングを行ない,各アリル頻度について患者一対照問でのχ^2検定を行なった.一次スクリーニングとして患者群(無精子症あるいは精子濃度1×10^6/ml以下の重度乏精子症)190例,正常対照群190例(有意水準P<0.1),二次スクリーニングとして患者群380例,正常対照群380例(有意水準P<0.05),三次スクリーニングとして患者群475例,正常対照群475例によるハプロタイプ,ディプロタイプ解析を行なった.【成績】マイクロアレイ解析の結果,NOA47症例が3つのサブクラスに分類され,各サブクラス問で有意な発現変化を示す53個の疾患感受性遺伝子を抽出した.SNP相関解析による一次スクリーニングにより8遺伝子,さらに二次スクリーニングによりART3とLoc92196の2遺伝子が限定された(ART3 p=0.00061;LOC92196 p=0.016).このうちART3遺伝子を対象とした三次スクリーニングの結果,P=0.00017と有意差を示すハプロタイプが同定された(case24.2%vs.control31.6%,χ^2=14.5).さらにディプロタイプ解析では有意ハプロタイプをホモ接合体で持つ無精子症症例において有意に血清テストステロン値が高値を示した(P=0.026).【結論】マイクロアレイ発現解析およびSNP相関解析にてART3が有力な無精子症感受性遺伝子と考えられた.またART3上の有意差を認めるハプロタイプは疾患抵抗性を示し血清テストステロン値と関連する事が示された.

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