IMP 脳血流SPECT(ZSAM 解析)およびコグニスタット認知機能検査によるConvert type MCI の早期診断

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社会の高齢化に伴いアルツハイマー病(以下AD)を始めとする認知症患者が増加している。さらにAD の前段階と考えられる軽度認知機能障害mild cognitive impairment(以下MCI)も同様に増え続けている。MCIは日常生活機能を正常に遂行できるが,わずかに認知障害を認める状態であるが,これらの中にはAD へ移行するconvert type MCI と移行しないnon-convert type MCI が存在する1)。しかし,現時点で両者を明確に鑑別する簡便な基準は見られない。MCI の段階でAD への移行を予測するための客観的評価が可能になれば,すなわちconvert type MCI を早期に診断できれば,適切な治療・介護あるいは生活指導が可能となり,AD への移行を少しでも遅らせることができる。認知症を鑑別診断するための機能画像検査のひとつとして脳血流SPECT 検査がある2)。この検査では病理学的変化がすでに認められている嗅内野・嗅周皮質あるいは海馬傍回と密接な線維連絡を持つ後部帯状回や楔前部での血流低下が見られることが,画像統計解析手法を用いて示されている3)。また画像検査に加えて様々な神経心理検査(評価スケール)があり,これらは実地臨床を行う上で認知症の診断および認知症の進行度合いの推定に役に立つ補助検査である4)。我々はこれまでもの忘れを主訴として外来受診した患者に対して,正常の生理的な老化と認知症を鑑別診断するために,神経心理検査としてMMSE(Mini-Mental State Examination)と形態画像検査としてのCT 検査,脳MRI 検査および機能画像検査としての脳血流SPECT検査( 3 D-SSP)を認知症のルーチン検査として施行してきた。今回,これらのルーチン検査に加えて神経心理検査としてコグニスタット認知機能評価,画像統計解析としてIMP 脳血流SPECT によるZSAM 解析を施行した。それらの結果をもとにconvert type MCI とnon-convert type MCI を比較検討して,MCI からAD へ移行する要因を検討したので報告する。

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