ウンシュウミカン輸出における殺菌剤浸漬後の乾燥処理が輸出後の果実品質に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effect of drying treatment after sodium hypochlorite application on fruit quality of exported satsuma mandarin
  • ウンシュウミカン ユシュツ ニ オケル サッキンザイ シンシ ゴ ノ カンソウ ショリ ガ ユシュツ ゴ ノ カジツ ヒンシツ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

ウンシュウミカンの果実を輸出する場合は,輸出相手国により果実の殺菌剤浸漬が義務づけられており,果実の殺菌剤浸漬および殺菌剤浸漬後の乾燥作業に大きな労力を要する。このため,殺菌剤浸漬後の省力的・効率的な乾燥方法とコスト削減効果の検討,さらに乾燥方法の違いが輸出後の果実品質に及ぼす影響について検討した。果実300kgを乾燥させた場合,密閉式通風除湿乾燥機を用いた「機械乾燥区」は6時間で乾燥でき,慣行の「拭き取り区」に比べ約1時間の短縮ができた。また,「機械乾燥区」は手作業による労働時間は6分程度で,「拭き取り区」に比べ約7時間の短縮ができた。果実300kgを乾燥させるのに必要な直接経費を試算すると,密閉式通風除湿乾燥機で乾燥させる「機械乾燥区」は慣行の「拭き取り区」に比べ17,500円少なくなり,19.5%のコスト削減となった。さらに,浸漬処理が必要な輸出相手国への船舶輸出を想定し,シンガポールにウンシュウミカンの船舶輸出試験を行った。到着3日後の商品果率は,「機械乾燥区」は「拭き取り区」および「自然乾燥区」より約5%高かった。輸出後の果実糖度・クエン酸含量は,乾燥方法による明確な差はみられなかった。以上のことから,果実の表面殺菌が義務づけられている輸出相手国にウンシュウミカンの果実を輸出する場合は,殺菌剤浸漬後の乾燥に密閉式通風除湿乾燥機を活用することで,慣行の拭き取りに比べ短時間での乾燥,およびコスト削減が可能となった。さらに,輸出後の商品果率も高く維持された。

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