「足立式フレーム」再現によるチューリップ切り花の球根冷蔵半促成栽培の試み

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タイトル別名
  • Semi-forcing culture of refrigerated tulip bulbs using the Adachi frame method
  • 「 アダチシキ フレーム 」 サイゲン ニ ヨル チューリップ キリバナ ノ キュウコン レイゾウ ハンソクセイ サイバイ ノ ココロミ

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抄録

実験に供試する足立式フレームは,東京都農林総合研究センター江戸川分場のほ場内に設置した。対照に一重および二重パイプハウスを設け,チューリップ切り花の無加温による球根冷蔵半促成栽培を行った。その結果,(1)栽培期間中における平均気温は,足立式フレーム10.1℃,一重パイプハウス9.8℃,二重パイプハウス11.9℃を計測した。各施設とも生育後半から気温が上昇,やや低めながらも,切り花生産に求められる温度が得られる。(2)足立式フレームと一重パイプハウスの切り花長および切り花重には強い正の相関を認め,足立式フレームは,花の形質に優れるがっしりした良質な切り花,一重パイプハウスからは,コンパクトに整う切り花が得られる。二重パイプハウスは,室温変化が大きいなどの影響により,不揃いな形質の切り花となる。(3)足立式フレームは,朝夕の薦の取り扱いとガラス戸の換気操作が負担になる。ハウス用自動換気コントローラは,資材費も比較的安価なことから,パイプハウスの温度管理省力機材として活用できる。(4)ダーウィン・ハイブリッド系「オレンジクイーン(Orange Queen)」は,予冷20℃43日,本冷5℃63日の冷蔵処理を行うことで,採花に要する積算温度500~600℃,積算地温530~620℃が示唆された。(5)「オレンジクイーン」は,切り花長,切り花重とも優に認め,花弁が鮮やかなオレンジ色の美しいチューリップであることなど,今日のチューリップ切り花生産に結びつく栽培技術上の知見を得た。

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