県産飼料を100%給与した若狭牛肥育技術の確立(1) : 哺育期~肥育中期

書誌事項

タイトル別名
  • Establishment of feeding techniques of Wakasa-gyu, Japanese Black, using feed consist of ingredients produced only in Fukui (the 1sup(st) report: lactation period~mid fatting period)

抄録

他の銘柄牛にない特徴を付与した新たなブランド和牛を開発することを目的に,出生直後から屠畜までの全期間を県内産の飼料のみを給与し若狭牛を飼養した。粗飼料については,肥育期まで当場産の乾草を,肥育期以降は県内の水田で収集した稲わらを飽食させた。配合飼料原料は,県内で生産された大麦,とうもろこし,大豆,大麦糠を用い,一般成分の分析の結果を基に哺乳期飼料(人工乳),育成期飼料,肥育中期飼料を配合し,給与した。供試牛は嶺南牧場で生まれた,幸忠栄を父に持つ黒毛和種去勢牛2頭で,飼料摂取量,発育(体重,体高,体長)および健康状態(血液生化学検査)について調査を行った。飼料摂取量は,30日齢頃から増加し,80日齢頃の離乳時では1.5kg/日頭摂取した。80日齢頃に人工乳から育成飼料へ変更した後も飼料摂取量は順調に増加し,280日齢頃に4.0kg/日頭摂取した。4.0kg/日頭以上摂取した際に下痢を発症したため,粗蛋白質含量(CP)を16%から14%に下げた育成配合に変更し,その後6.5kg/日頭まで増量した。体重の増加については,7~8月(夏期)に停滞したものの,約440日齢時には平均で約400kgとなり,2頭とも標準成長曲線内で順調に成長した。血液生化学検査については,すべての項目において標準値内であった。この結果から,少なくとも450日齢まで黒毛和種去勢牛を100%県産の飼料で飼養することが可能であることが明らかになった。

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