牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)ワクチン製造のための増殖効率の高い細胞株の作出

書誌事項

タイトル別名
  • Cloning the high growth efficiency of bovine viral diarrhea virus (BVDV) cell line for the production of BVDV vaccines
  • ギュウ ウイルスセイ ゲリ ウイルス(BVDV)ワクチン セイゾウ ノ タメ ノ ゾウショク コウリツ ノ タカイ サイボウカブ ノ サクシュツ

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説明

牛ウイルス性下痢症(BVD)は牛の増体量及び乳量の減少,繁殖成績の低下及び牛群の免疫力低下により経済的損失をもたらす疾病で,BVDウイルス(BVDV)は培養細胞に対する病原性の有無からCP株とNCP株の2つの型に分類される。BVDワクチンを製造する過程で用いられる牛胎児血清もしくは牛血清に,BVDVが混入しているため,ワクチンウイルスを増殖させる妨げとなっている。従って,BVDワクチン製造においては,効率的にワクチン株を増殖させる手段を開発し,安価なワクチンの提供が求められている。これらの背景から,本研究は,BVDVのワクチン製造に使用されているMDBK細胞やSK-L細胞のクローニングを行い,CP株であるNose株及びNCP株であるKZ-91NCP株がより良く増殖するための細胞株を選択することにより,効率的なワクチン製造系を確立する事を目的とした。クローニングには限界希釈法を用い,各クローン細胞におけるBVDVの増殖測定には,Nose株は感染価測定,KZ-91NCP株と両株は,リアルタイムRT-PCRによる遺伝子量測定により行なった。限界希釈法によるクローニングを行なった結果,MDBK細胞およびSK-L細胞由来のクローン細胞をそれぞれ5株(M-CL1-CL5,S-CL1-CL5)得られた。本研究では,Nose株に高感受性を示すM-CL1,M-CL3,S-CL2,S-CL3,およびKZ-91NCP株に高感受性を示すM-CL4,M-CL5,S-CL1を作出することに成功した。Nose株で増殖が良いクローン細胞で,KZ-91NCP株でも増殖が良いということはなく,ウイルス株により各クローン細胞における増殖能が異なることが示された。

収録刊行物

  • 家畜衛生学雑誌

    家畜衛生学雑誌 44 (3), 111-122, 2019-03

    武蔵野 : 日本家畜衛生学会

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