The ‘Crime’ of a Woman Pretending to Be a Man: Reading Henry Fielding’s The Female Husband

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  • 女が男になる「犯罪」 ―ヘンリー・フィールディングの『女性の夫』を読む―

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男装した女性が女性と結婚するというスキャンダラスな現実の事件にもとづいてヘンリー・フィールディング(Henry Fielding)の『女性の夫』(The Female Husband)(1746)は書かれたが,フィールディングは物語の中で現実のできごとに多くの脚色を加えている。それらの脚色は一方で女性読者に教訓をあたえることを目的にしているのだが,他方で男性読者を想定したポルノグラフィー的な要素を強調する効果ももっている。この物語を通してフィールディングは男装して女性と結婚する主人公メアリー・ハミルトン(Mary Hamilton)に対して曖昧な立場を保ち続ける。彼はメアリーの同性愛的な行為を下劣でおぞましいものとして描きながら,彼女の変幻自在な魅力に引きつけられているように思える。この曖昧性ゆえに,物語はジェンダーとセクシュアリティの一致を自然なものであると主張しつつ,その不一致がつねに起こりうることを同時に暗示してしまう。また,物語は最初に自然な欲求と不自然な欲望という区別をしているにもかかわらず,最終的には両者が明確に区別できないことを明らかにしてしまうのである。

Journal

  • 人文研紀要

    人文研紀要 93 305-321, 2019-09-30

    中央大学人文科学研究所

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