日源新詞の借用の過程 : “分衆”から“大衆”へ : 打call(コール)を例として

書誌事項

タイトル別名
  • The process of accepting Riyuanxinci : From “fragmented mass audience” to the “mass audience” : A consideration of “打call” as an example
  • ヒ ゲン シン シ ノ シャクヨウ ノ カテイ : "フン シュウ"カラ"タイシュウ"ヘ : ダ call(コール)オ レイ ト シテ

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抄録

本稿は,“打call”の受容過程を例として,インターネット普及後に輸入されてきた外来語(日源新詞)の借用および普及の過程を考察した。具体的には,(1)“打call”と日本語原語の「コール」の意味を比較し,中国語における“打call”の語義を明確にした。その結果,中国語としての“打call”の語義は若干のズレはあるが,日本のアイドル文化における「コール」の意味とほぼ対応していることがわかった。 (2)先行研究や读秀コーパスおよびインターネット等を利用して,サブカルチャー用語としての“打call”と流行語としての“打call”の借用および普及の流れを概観した。“打call”の定着と普及の流れは,①「コール」という概念は当初は英語表記の「call」が使われており,“打call”という語ができたのは2014年ごろだと推測できること,②“打call”が中国語で使われ始めた当初は,「動詞+目的語」の複合表現であり,一語として広まるのは2015年以後だと考えられることがわかった。さらに流行語としての“打call”の普及を考察した結果,①2014年の黎明期,②2017年の発展期,③2018年7 月の衰退期3 つに分けられることがわかった。 (3)2018年の日源新詞定着度調査時の“打call”の意味,接触ルート等に関するアンケート調査の結果をもとに“打call”の定着状況を分析し,インターネット経由で輸入される語彙の普及と伝播のモデルを示すことを試みた。その結果,居住する都市の規模が大きく,年齢が若く,女性の方がより“打call”を受容しているとわかった。さらにアンケート調査の結果と“打call”の普及の3 段階を重ねて見ると,この新詞はまず都市部の若者の間で,J-POP およびサブカルチャー用語として使われ始め,続いて意味の派生が生じ,その派生的意味がネットTV 番組やSNS での大量使用によって一般のネットユーザーに広がり,最後にネットメディアからマスメディアへ拡散して,各地域と各年齢層まで広がったと考えられる。

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