クエン酸第二鉄水和物からスクロオキシ水酸化鉄への切り替えを行った維持血液透析患者の検討

抄録

高リン血症治療薬であるクエン酸第二鉄水和物(FCH),スクロオキシ水酸化鉄(SO)は副次効 果として鉄補充効果があることが知られている. 今回,維持血液透析(HD)患者で,FCH の投与にて血清フェリチン(Ft)値上昇した5 例(A 群),血 清リン値の低下が不十分であった2例(B 群)でSO への切り替えを行った. A 群では5例中4例に,3-14か月で,Ft 値>300ng/ml の上昇を認め,SO を中止した. B 群では,SO にて良好なIP 吸着効果を示したが,2 例中1 例(SO1500mg/ 日)で,Ft 値> 300ng/ml の 増加を認め,750㎎ / 日への減量を要した. FCH 投与後,Ft 値> 300ng/ml の症例ではSO でもFt 値> 300ng/ml の上昇を来す可能性があることが 示唆された. また,症例によって鉄が吸収されやすい症例が存在することが示唆され,個々の症例における長期にわ たるモニタリングが必要であると考えられた.

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