自覚的な内省についての発達心理学的研究 ―「人生回顧課題」を用いた「自覚的内省」の性質に焦点化した量的検討―

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タイトル別名
  • ジカクテキ ナ ナイセイ ニ ツイテ ノ ハッタツ シンリガクテキ ケンキュウ ジンセイ カイコ カダイ オ モチイタ ジカクテキ ナイセイ ノ セイシツ ニ ショウテンカ シタ リョウテキ ケントウ

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抄録

本研究では,有益性につながる「内省(自己を省みること,振り返ること)」の性質を検討すべく,「人生回顧課題」を用いた面接調査と質問紙調査を実施した. 生涯発達的視点から人間の「知恵,英知(以下wisdomと表記)」を研究しているBaltesら(1994)の作成した評価基準をもとに基準を改編し質問紙調査で得られた回答の得点化を行った.その後質問紙調査で得られた「内省尺度得点」との関連を検討した.また,先行研究より「自覚的内省」が記憶の肯定的側面に気づく働きがあることが報告されていたため,経験・出来事ををポジティブに意味づけているか否かで「回顧課題得点」に差があるかどうかについても併せて補足的に検討した.その結果,「内省」を行うことがより多くの文脈や時間的な関連性に目を向けながら自己の経験・出来事を捉えることに役立つことが示唆された.さらに,経験・出来事に対し「ポジティブに意味づけ」を行っている人は「経験からの学び・教訓」を得たり「人生や生活の困難場面における有効な解決策」を見出すところまで意識が及んでいた.そのことが「多様な価値観を受容していく」ことへもつながる可能性が示唆された.

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