熱産生の観点からみた冷え症の生理学的メカニズム ─基礎代謝量および筋肉量を用いた検討─

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  • Physiological Mechanism of Hiesho in Terms of Thermogenesis: A Study Using Basal Metabolic Rate,Muscle Mass

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抄録

【目的】 冷え症者と非冷え症者における基礎代謝量と筋肉量を評価することで,熱産生の観点から冷え症の生理学的メカニズムの背景にあるものを明らかにすることを目的とした.【方法】 対象は若年健常女性18名で,鼓膜温と右母趾皮膚温の差が6℃以上の者を冷え症群(12名),6℃未満の者を非冷え症群(6名)に分類した.測定指標として,基礎代謝量・筋肉量・心拍数・自律神経活動指標・右鼓膜温・右母趾皮膚温・身長・体重・Body Mass Index(BMI)・体脂肪率・脂肪量・除脂肪量・体水分量・推定骨量を用いた.自律神経活動指標は,心拍数を用いて心拍変動周波数解析を行い,交感神経活動指標(LF/HF)と副交感神経活動指標(HF)を求めた.データの分析は両群間を指標毎に比較・検討した.【結果】 冷え症群に属する者は,全体の66.7%であった.基礎代謝量,筋肉量,体重,BMI,体脂肪率,脂肪量,除脂肪量,体水分量,推定骨量は,冷え症群の平均値が非冷え症群の平均値に比べて低値を示したが,いずれにおいても,冷え症群と非冷え症群の平均値に統計学的有意差は認められなかった.心拍数,LF/HFは,冷え症群の平均値が非冷え症群の平均値に比べ高値を示した.一方,HFは,冷え症群の平均値のほうが非冷え症群の平均値に比べ低値を示した.しかし,いずれにおいても冷え症群と非冷え症群の平均値に統計学的有意差が認められなかった.右母趾皮膚温は,冷え症群が非冷え症群に比べて有意に低かった.【結論】 冷え症の生理学的メカニズムの背景には熱産生の低下があり,自律神経による調節機能を用いて末梢への血流分配を犠牲にし,核心温を一定に保っていることが推察された.

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