墓地のアカダナに注入したDDTの残効性について

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タイトル別名
  • ボチ ノ アカダナ ニ チュウニュウ シタ DDT ノ ザンコウセイ ニ ツイテ
  • On the Residual Effect of DDT Injected into the Graveyard Container for the Control of Aedine Mosquitoes.

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抄録

長崎市では75万平方米にも及ぶ墓地の諸容器から発生するヤブ蚊類の駆除のためにDDT乳剤をその容積に対して100ppmとなるよう年3-4回注入して極めて良好な駆除効果を収めているが,注入したDDTの効果の持続性を調べる目的で,DDT注入後ある間隔で墓地のアカダナから採取した水のDDT濃度をネツタイシマカ幼虫を用いて生物試験により推定した。1)DDT注入後1週目において採取液のDDT濃度が約1/10に著しい減少を示し,特にアカダナ内に水がなく,注入薬液が乾燥固着する場合に減少の程度が著しいように思われる。2)2週目以後のDDT濃度の減少はゆるやかとなり,アカダナによる変異が大きく,また水の有無による残留濃度の差も明らかでなくなる.注入3週間後には一部のアカダナでDDT濃度が0.1ppm以下に減少するが,一方20週間後においても半数以上のアカダナでは0.5ppm以上の濃度でDDTが残っており,更に長期間0.1ppm以上の濃度が持続するものと思われる。3)降雨直後においてアカダナ内のDDT濃度の減少は殆んど認められないので,降雨によるDDTの流失は極めて少ないものと想像される。4)少数のアカダナでは推定不可能な程度にDDT濃度が低かったが,これは参詣人による掃除によってDDTが流失するものと考えられる。5)実験的に推定したヒトスジシマカの孵化直後の幼虫の生存を許す限界濃度が約0.1ppmであることと,実際の注入後20週目においても半数以上のアカダナで0.5ppmの濃度が保たれていることから,一斉駆除と墓参時のDDTの流失の防止,更には墓地周辺の発生場所を整理することによって,現行の注入回数を更に減ずることが可能であると考えられる。

In former reports one of the authors, Ori (1955) concluded that the injections of DDT emulsion at a rate of 100 ppm per capacity, for all water-containers of the whole graveyard areas, irrespective of the amount of water at the time of the injection, 3 or

長崎大学風土病紀要 4(1), p.38-45, 1962

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