肝内側区域低形成に伴うChilaiditi症候群を合併した 胆嚢結石症に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した 1 例

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タイトル別名
  • A CASE OF LAPAROSCOPIC CHOLECYSTECTOMY FOR CHOLECYSTOLITHIASIS WITH HYPOPLASIA OF THE MEDIAL SEGMENT OF THE LIVER AND CHILAIDITI SYNDROME

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説明

腸管が横隔膜と肝臓との間に嵌入するChilaiditi症候群を合併した胆嚢炎は,本邦で複数例報 告されている.Chilaiditi症候群合併胆嚢炎患者に胆嚢摘出術を施行する際,肝臓や横隔膜への腸管癒着の有無や,肝の形態異常が問題となる.  今回,Chilaiditi症候群を合併した胆嚢結石症患者に対し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した 1 例を経験した.症例は75歳女性.50歳頃右気管支カルチノイドに対し右肺下葉切除術,71歳より膵分枝型IPMNの既往があった. 2 か月前からの右季肋部痛を主訴に受診し,胆嚢結石症,慢性胆嚢炎の診断で当科を紹介された.腹部CTとMRIでは,胆嚢結石の他に,肝内側区域低形成,横隔膜右側挙上,Chilaiditi症候群を合併していた.IPMNに対しMRIを過去 5 年施行されていたが,結腸肝彎曲の位置に変化はなかった.Chilaiditi症候群を合併した胆嚢結石症に対し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.腸管の横隔膜・胆嚢・肝臓への癒着はなく容易に授動でき,型通りの手術が可能であった.  Chilaiditi症候群合併例に対する胆嚢摘出術の本邦報告例では,自験例を含む 7 例中 5 例に腸管の癒着を認めた. また, 7 例中 4 例が肝内側区域低形成, 3 例がsuprahepatic gallbladderを合併していた. Chilaiditi症候群合併患者に胆嚢摘出術を施行する際は、腸管癒着および肝内側区域低形成による胆嚢位置異常を考慮して術式を検討する必要がある.

収録刊行物

  • 横浜医学

    横浜医学 71 (4), 571-575, 2020-10-30

    横浜市立大学医学会

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