集学的治療で完全寛解を得た瘻孔形成を伴う小腸原発単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE OF PRIMARY MONOMORPHIC EPITHELIOTROPIC INTESTINAL T-CELL LYMPHOMA OF THE SMALL INTESTINE WITH FISTULA THAT ACHIEVED COMPLETE REMISSION BY MULTIDISCIPLINARY TREATMENT

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説明

症例は54歳女性.左下腹部痛に対し施行した腹部単純CTで小腸腫瘍を指摘された.精査の結果,腹部造影CTで回腸に不均一な造影効果を伴う著明な壁肥厚と拡張を認め,可溶性インターロイキン- 2 受容体が高値であり小腸原発悪性リンパ腫が疑われた.小腸内視鏡検査では穿孔リスクが高いと判断し診断および腫瘍摘出目的で当科紹介,開腹手術を施行した.術中所見では回腸末端から20㎝口側で15×10㎝大の腫瘤を形成しており,さらに口側70㎝の位置の回腸と瘻孔形成を認め,同部位を含め回盲部切除を行った.病理組織所見では単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫(MEITL)と診断した.術後腹部CTでは子宮広間膜に沿った腫瘤を認め,残存腫瘍と診断したが,化学療法開始後4 か月後のPET-CTで子宮間膜に異常集積は認めずCRと判断した.MEITLの予後は極めて不良とされているが,今回瘻孔形成を伴う小腸原発悪性リンパ腫を切除し,その後の化学療法によりCRとなったMEITLの 1 例を経験したので,若干の文献的考察を含め報告する.

収録刊行物

  • 横浜医学

    横浜医学 71 (4), 561-566, 2020-10-30

    横浜市立大学医学会

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