県産飼料のみで飼育した若狭牛生産の試み

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  • Establishment of feeding techniques of Wakasa-gyu, Japanese Black, using feed only consist of ingredients cultivated in Fukui

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抄録

他の銘柄牛にない特徴を付与した新たなブランド牛を開発することを目的に,出生直後から肥育出荷までの全飼養期間を県内産の飼料のみ給与し若狭牛を飼養した。濃厚飼料の原料には県内で栽培された大麦,トウモロコシ,大豆,飼料用米などを用い,一般成分の分析結果を基に各飼育ステージに応じた栄養成分になるよう配合し給与した。粗飼料として肥育期まで場産の乾草を,肥育期以降は県内の水田で収集した稲わらを飽食させた。供試牛は福井県嶺南牧場で生まれた,幸忠栄を父に持つ黒毛和種去勢牛2頭で,飼料摂取量,発育(体重,体高,体長)および健康状態(血液生化学検査)について調査を行った。本報では27カ月齢までの調査結果を報告する。飼料摂取量は離乳後,順調に増加し,13カ月齢で育成飼料を平均で約6kg/日頭摂取した。その後,肥育飼料へ切替え,27カ月齢までで最大12kg/日頭摂取した。体重は標準発育曲線内を推移し,1日当たりの増体量は平均で0.85kg/日となった。血液生化学検査はすべての項目において異常はみられず,県産飼料のみでも27カ月齢まで若狭牛を飼育できることが確認できた。県産飼料の飼料原料費は市販の配合飼料よりも安くなるものの,飼料配合に要する人件費,設備費,保管費を考慮すると生産費は通常の約1.3~2.1倍になることが明らかとなった。

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