単身高齢世帯と高齢者の生活保護受給割合:都道府県別データを用いた検証

抄録

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本稿は都道府県別データを用いて、単身高齢世帯の地域差が高齢者の生活保護受給率の地域差に与える影響を分析した。その結果、単身高齢世帯の地域差と高齢者の生活保護受給率の地域差には正の相関はあるものの、固定効果を考慮すると、両者に有意な関係は見られなくなる。しかし、大都市圏にサンプルを限定した場合、また1990 年代以降にサンプルを限定した場合は固定効果を考慮しても両者に正の関係が観察される。この結果から、90 年代ぐらいを境にして、日本社会で都市化がいっそう進むことで同居が減少したことに加えて、家族によるリスクシェアの機能が弱まったために、単身高齢世帯の増加が高齢者の生活保護受給率に直接的に結びつくようになったという可能性が示唆される。

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