我が国における地域間税収格差の是正策について

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  • How to narrow inter-regional tax revenue gap in Japan

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抄録

我国では、20世紀の後半の財政運営に当たって、国と地方の役割分担を明確にし、これを賄うための国:地方の税源配分を、概ね2:1とし、国税収入の凡そ半分を、国庫支出金及び地方交付税・交付金の形で、地方財政の財源として分配し、中でも地方自治体間の財政力格差を是正する仕組みとして、地方交付税制度を運用してきた。この仕組みの下で、20世紀後半の我が国は、高度経済成長と国土の均衡ある発展を実現してきた。21世紀を指呼の間に臨む1990年代、我が国は、世界第2の経済大国となり、その間進んでいた世界経済にい於けるグローバル金融革命のあおりを受けて、所謂バブル経済の波に呑み込まれ、その後そのバブルの崩壊ととともに、長期に及ぶ経済低迷からの脱却に喘ぐことになった。少子高齢化の進展から人口減少社会への意向が確実されていた21世紀に向けて、1990年代我国の国会は、全会一致で、地方分権改革に取り組むことを決議した。しかし、その後の改革は、強大な権限に固執する中央官庁の抵抗から不十分ななものとなり、中でも、税源の移譲と地方自治体間の財政力格差問題の是正は、中途半端な三位一体改革で決着したことになった。しかし、その後も、地方自治体間の税収格差の問題は寧ろ拡大する方向に向かった。地方交付税制度を通じての地方財政への関与の権限の維持に固執する中央官庁は、ふるさと納税制度などを導入したが、予期せぬ矛盾に逢着し、小手先の弥縫策を施すにとどまっている。本研究では、21世紀の地方財政制度の在り方として、抜本的な税源配分の見直しを行う方策を検討する。

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