⽇本の公⽴校の国際バカロレアディプロマプログラム準備段階における⽣徒の英語による統計学習についての考察-⽣徒のアイデンティティと統計問題の正答率に焦点を当てて-

書誌事項

タイトル別名
  • ニホン ノ コウリツコウ ノ コクサイ バカロレアディプロマプログラム ジュンビ ダンカイ ニ オケル セイト ノ エイゴ ニ ヨル トウケイ ガクシュウ ニ ツイテ ノ コウサツ : セイト ノ アイデンティティ ト トウケイ モンダイ ノ セイ トウリツ ニ ショウテン オ アテテ
  • ニホン ノ コウリツコウ ノ コクサイ バカロレアディプロマプログラム ジュンビ ダンカイ 二オケル セイト ノ エイゴ 二ヨル トウケイ ガクシュウ 二ツイテ ノ コウサツ -セイト ノ アイデンティティ ト トウケイ モンダイ ノ セイトウリツ 二 ショウテン オ アテテ-
  • Examining statistics learning in English in the Preparatory Stage of Diploma Programme in a Japanese International Baccalaureate certified high school: Their identities and performance on statistics problems

この論文をさがす

抄録

本稿の目的はディプロマプログラム準備段階の認定校である公立高校における生徒の言語使用の現状と,言語の差異による数学の学習達成度(正答率)の違いについて明らかにすることである.本研究の概念的枠組みは生徒のアイデンティティである.本稿で扱うアイデンディディは変わっていくことを前提にしており,英語による数学の授業を開始して間もない生徒が英語での数学の学習をどのように捉えているのかを明らかにする.そのため,第一に,質問紙調査を実施した.質問紙調査では主に2種類あり,英語に関する基本情報と英語で数学を学習する際の問題点について計16問に対する回答を得た(人数N=23).第二に,質問紙調査を踏まえた生徒の意識に対して,授業はどのような内実かを明らかにするため,3度の授業観察を行った.第三に既習の統計に関する問題(6問)を英語と日本語で出題した.第四に,テスト終了後,感想を記述させた.これらのデータの分析の結果として,次のことが明らかになった.質問紙調査からは学校外ではほとんどの生徒が日本語を使用しており,第二言語として英語を学び,その英語で数学を学習していることが明らかになった.また,全員が英語で数学を学ぶことの利点を挙げ,それらは中長期的にみた人間開発であると考えられていた.英語で数学を学ぶことのデメリットとして,理解に時間がかかることや,日本語運用能力が下がることなどが挙げられた.総じて,数学学習に対して不安を抱える生徒が半数以上いることも明らかになった.次に授業観察からは主に英語による指導が主であるため,生徒の英語による発話は盛んに行われていなかったものの,グループワークでは日本語・英語を使いながらコミュニケーションする姿が見られた.統計のテストにおいては,英語で学んだ内容であっても,日本語での正答率の方が高く,統計的に有意な差があることが明らかになった.さらに,英語の問題を解く際には,文脈を理解するための単語を理解できていないせいで解けない場合と,数学の単語や用語の理解に難しさを抱えており解けない場合の二通りがあることが明らかになった.これらのことから調査対象の公立高校では,生活言語と教授言語が違っており,生徒が数学の授業における英語の把握の難しさを感じていることや,統計学習では,日本語で概念を習っていないにも関わらず,日本語の質問紙の正答率が有意に高いことが明らかになった.

収録刊行物

  • 科学/人間

    科学/人間 50 171-193, 2021-03

    関東学院大学理工学部建築・環境学部教養学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ