川端康成「古都」と〈トポス〉としての京都 : 千重子“再生”の主題と「四神相応」への夢 (京都における日本近代文学の生成と展開)

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タイトル別名
  • Yasunari Kawabata's Koto and Kyoto as `Topos' -On Reinterpreting Chieko, and the Ideal Topography of `Four Gods'

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抄録

「古都」の物語序盤、嵯峨の尼寺に父を訪ねた千重子の歩く、仇野念仏寺から二尊院を経て野々宮神社へと行き着く道筋は、無縁・厭世に支配される磁場から、共存・協力を暗示する土地を経て最後に「縁結び」の地に行き着く、という象徴的意味をもっていた。同時にこの道筋は、秀男と苗子の接近が、龍助と千重子の共存・協力関係に影響を与えていくという「古都」のプロットをなぞるものでもある。これらの主要人物を、京都の四方を守る四神との対応関係を通して見ればそれがわかる。「古都」は捨て子であった千重子が、理想的な四神相応の地に重ねられるような縁、人間関係を得て、本来の生命力を回復してゆく物語なのだ。

identifier:SK200801002931

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