ダンの宗教詩にみられる世俗性 : ‘Holy Sonnet 9,14,15,19’ を中心に

書誌事項

タイトル別名
  • ダン ノ シュウキョウシ ニ ミラレル セゾクセイ Holy Sonnet 9 14 15 19 オ チュウシン ニ
  • The Worldliness of the Divine Poems of John Donne : On ‘Holy Sonnet 9,14,15,19’

この論文をさがす

抄録

この小論はジョン・ダン(John Donne, 1572-1631)の宗教詩に見られる世俗性の考察である。詩人は人生の前半において才気煥発、情熱的な世俗の恋愛詩をよんでいる。しかし、宗教界に入ったダンは前述の世俗の愛から脱却することができたのか。その問題を‘Holy Sonnet 9,14,15,19’を採り上げて考察するのが本論の目的である。詩人は自分自身の心の中でキリストの贖いを見つめその崇高さを崇めながらも世俗の愛を拭いきれていないのが分かる。ダンは過去によんだ肉欲の愛に関する恋愛詩のことについて触れ、改悛の情を表わすが、それは困難であることをうたっている。詩人は自分の身体を小世界であると述べ、その中で生じる罪の、涙の水と火による浄化を願う。しかし、前者によるダンの罪の浄化は無理であり、後者のものには二つある。それらは世俗の情欲と嫉妬の火であるが、詩人はこれらの火で浄化されるのをも求めず、神と『詩篇』に出てくる神の家に憧れる炎のような熱意による浄化を願う。しかし、詩人は世俗の愛を忘れにくいと述べる。こうして詩人は彼自身の揺れ動く心中についてうたう。それは詩人の生きる喜びと神への接近との間に揺れ動いているものである。このように、詩人は宗教界に入っても世俗の愛を払拭できないのが理解できる。"

キリスト

宗教詩

世俗性

Holy Sonnet

identifier:DB003700003037

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ