乳児保育における子ども主体の日課と生活についての一考察 : 「育児の担当制」に関する先行研究の整理を中心に

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  • A Survey of Child-Centered Daily Routines and Life in Infant Care and Education, Focusing on Organizing Previous research on the “Childcare Charge System”

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抄録

0-2歳児の保育所入所率が高まり,保育時間も長時間化しているなか,乳児保育のあり方が問い直されてきている。保育所は,集団生活の場であるとともに,個人としての生活をも尊重しなければならず,そのためには一人ひとりの子どもの発達や生活リズム,そしてその子の思いに寄り添う必要がある。つまり,一人ひとりの子どもを主体とした日課や生活を作っていかなければならない。しかし,戦後のわが国の保育所においては,一斉的な日課や生活を中心とした保育がおこなわれていたことが実践記録等の中から読み取ることができる。その背景には,保育者の配置基準や保育環境などの条件面での脆弱さとともに,保育者による「こうあるべき」という「文化枠」や「みんな一緒が良い」という「価値観」,「子どもは言うことを聞かせる存在」としての「保育者と子どもの関係性」の問題がある。そのようなわが国の伝統的な保育観を乗り越え,子どもが主体となった日課や生活を中心とした保育となり得るものとして「育児の担当制」という実践に注目した。「育児の担当制」は,戦後のハンガリーで始まったものであるが,日本では一部の保育所等で1970年代から保育者と子どもとの信頼関係を築き,生活を整える乳児保育として実践されてきた経緯がある。子どもの日課や生活のあり方に大きく影響を与えると考えられる,保育者の「文化枠」や「価値観」,「おとなと子どもの関係性」を問い直すために,「育児の担当制」に関する先行研究の整理を行う。

日課

生活

文化枠

おとなと子どもの関係性

育児の担当制

identifier:DF004900010785

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