学校教育における学校図書館の役割 : 田中敬の理論から展開する学校図書館のあり方

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  • ガッコウ キョウイク ニ オケル ガッコウ トショカン ノ ヤクワリ タナカ ケイ ノ リロン カラ テンカイ スル ガッコウ トショカン ノ アリカタ

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抄録

現在の学校教育では、「総合的な学習の時間」の導入や週5日制の実施によって学校図書館の役割が再認識されつつある。しかし、学校教育において学校図書館や公立図書館はどのような役割を果たしていくべきか、その理論の検証は十分に行われているとはいいがたい。そこで本稿は、1916年(大正7年)に『図書館教育』という著作を表し、教育と図書館の関係を検証した田中敬の理論をもとに、現在の学校教育と図書館の関係について明らかにした。田中は、明治以降の図書館界を図書館の研究活動を行うことでリードしていった人物であり、著作の多い人物と評価されている。(1)『図書館教育』を検証すると、田中は学校教育おいて図書館の利用を経験することは、卒業後の図書館利用率を高め、読書習慣の基礎を築くことになり有効なことであると述べている。さらに、この理論を受けて今日の学校教育における学校図書館や公立図書館の役割を検証すると、学校図書館と公立図書館が連携することで児童、生徒の学習をより良いものにすることができるのではないかと結論付けた。その方法としては、学校図書館が公立図書館に働きかけ蔵書検索やレファレンスサービスを受ける利用法があげられる。このような公立図書館のサービスは、学校教育で行われる調べ学習の際に必要となってくる補助的な機関としての役割であるといえる。一方で、公立図書館が学校教育のカリキュラムを理解し、それに合わせた資料を用意して提供したり、ブックトークやお話会の出張を行う公立図書館が主体となった連携も考えられる。このように学校教育を通じて学校図書館と公立図書館が連携することは、児童、生徒の目を公立図書館の利用に向けさせるきっかけとなり、生涯学習社会において図書館の利用を継続的なものにするためにも重要なことであると考える。

田中敬

学校図書館

学校教育

公立図書館

生涯学習

identifier:DO003300006441

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