古代日本語の船舶の名称における外来語の要素について : 亀甲(『古事記』中巻、神武天皇)を中心に

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  • コダイ ニホンゴ ノ センパク ノ メイショウ ニ オケル ガイライゴ ノ ヨウソ ニ ツイテ キッコウ コジキ チュウカン ジンム テンノウ オ チュウシン ニ

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抄録

古代日本語の船舶の名称には、日本語ー視点では正確に理解できないものがある。これらの単語には、適切な海の民の視点、具体的には、彼らが用いたであろう言語や文化についての知識を持てば正確に理解できるものがある。茂在寅男氏は、『記紀』の中に古代ポリネシア語が多く混じっている、と述べ、井上夢間氏は、「枯野」等の言葉とカヌーとの関係について、ハワイ語を用いて簡潔に説明した。浙江省の漁民が使う言葉に「無眼龍頭」があり、「無目籠」は船眼の装飾がない船のことである。「大目麁籠」は、記録の段階では、「无目龜籠」と表記されたはずである。古代の土器・壁画と語部は、ともに、人々は鳥を船に乗せて航海した、という情報を伝えており、『記紀』には、「天鳥船」、「天鴿船」、「天磐船」、「鳥之石楠船」、「鳥磐櫲樟船」、「无目龜籠(『日本書紀』では「大目麁龍」と誤記されている)J、「亀甲」の例がある。神武天皇が遭遇した「亀甲」は、亀を舶載する甲(kau) という、外洋航海が可能な大型船であり、浦嶋子の物語に登場する「大亀」も同じである。

identifier:BO009000003833

収録刊行物

  • 文学部論集

    文学部論集 90 79-96, 2006-03-01

    佛教大学文学部

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