ジョン・ミルトンの『失楽園』第2巻の交響曲化

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タイトル別名
  • ジョン ミルトン ノ シツラクエン ダイ2カン ノ コウキョウキョクカ
  • Orchestration of Milton's Paradise Lost, Book 2

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抄録

ミルトンの叙事詩『失楽園』を交響曲に換えようとしている。これは、他作曲家のように、それを題材にして、創作するのではなくて、この叙事詩に内在する潜在的可能性の表現である。この作品には、主に2つの潜在可能性があり、ひとつは、精神療法にわたる音響効果の領域であり、他は純粋の音楽の領域である。本研究は後者の領域である。この研究ノートは、原文の内容がいかに変化して、交響曲に変化するかを、その2巻を例にとって、考察する。 本年は、ミルトン生誕の400周年にあたり、国の内外で催しがあった。今後もある。ひとつは、ロンドン大学で7月行われた国際ミルトン・シンポジウムであり、2つは、ドイツ。ベルリン、ゲツセマネ教会で7月開催された『失楽園』の音楽会である。3つは、日本のもので、上野学園大学主催の「ジョン・ミルトンの詩とヘンリー&ウィリアム・ロウズの音楽」が2008年11月20日開催されることになっている。特に、ゲッセマネ教会での、音楽会が意義深いように思われた。ここでは、ミルトンの小作品から初めて、『失楽園』の演奏があった。これは、Sing-Akademie zu Berlin の主催で行われれた。3時間余に及ぶ演奏、特に、Friedrich Schneider, Das verloreneParadiesは感動的なものがあった。このように、ミルトンの『失楽園』と音楽には、特別に深い菅家がある。 今、筆者らが企画するのは、人類未踏の領域、『失楽園』全12巻の交響曲化である。これは、オペラ『失楽園』を創作した現代作曲家の巨匠クシシュトフ・ペンデレツキといえども、敢えてなさなかった仕事である。今回その第2巻の途中経過を研究ノートの形で示す。そこから得られる、創造の過程の神秘を垣間見る。

ジョン・ミルトン

『失楽園』の交響曲化

芸術創造の神秘

identifier:BO009300003906

収録刊行物

  • 文学部論集

    文学部論集 93 131-137, 2009-03-01

    佛教大学文学部

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