メタ表象から読み解く『ライ麦畑でつかまえて』

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タイトル別名
  • メタ ヒョウショウ カラ ヨミ トク ライ ムギバタケ デ ツカマエテ
  • Reading The Catcher in the Rye in Terms of Metarepresentation

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抄録

本論文は、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を「メタ表象」の観点から解釈したものである。まずメタ表象について簡単に説明し、その後『ライ麦畑』における様々な現象をメタ表象の観点から解釈し、さらにはこの小説の最大の問題とも言える、ホールデンは捕える側なのか捕えられている側なのかという問題にも一つの答えを提示している。メタ表象を処理する能力は生得的なものであるが、『ライ麦畑』の主人公ホールデンはその機能に欠陥があるように思われる。それゆえ彼は自分の気持ちと現実のありようを簡単に混同してしまう。「私は願っている(信じている)」というソースタグが外れてしまい、メタ表象が表象化されてしまうのだ。彼が物語の中で何度も期待と失意との間を往復するのはそのためである。ソースタグが外れ、現実に直面し、落胆し、再びソースタグが復活するのである。

メタ表象

ライ麦畑でつかまえて

ソースタグ

identifier:BO009500003935

収録刊行物

  • 文学部論集

    文学部論集 95 85-95, 2011-03-01

    佛教大学文学部

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