「つつじ花にほへる君」「紫のにほへる妹」「山吹のにほへる妹」と萬葉人の色彩感覚

書誌事項

タイトル別名
  • 「 ツツジ ハナ ニ ホヘル キミ 」 「 ムラサキ ノ ニ ホヘル イモウト 」 「 ヤマブキ ノ ニ ホヘル イモウト 」 ト マンヨウジン ノ シキサイ カンカク
  • “Tsutsujibana Nifoferukimi” “Murasakino Nifoferuimo” “Yamabukino Nifoferuimo” and the Sense of Color among Man-Yō Bito

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抄録

萬葉集の「つつじ花 にほへる (君)」(つつじの花が周囲の緑からとびだすような鮮烈な色であるように生き生きとした)「紫の にほへる (妹)」(むらさきの花のように鮮やかに目にとびこんでくる)「山吹の にほへる (妹)」(山吹の花のように目にまぶしい)などは、いずれも、「つつじ花」「紫草」「山吹」を「君」や「妹」の比喩に用いている。当時、「黄ナル」色は、生成り色も含んだ茶系統の色であり(当時の分類で言えばアヲ系統)、「現在の黄色」にあてはまる色は「ヤマブキ色」であった。また、「白」は透明感を含んだ色であった。日本の古代色、アカ(明)・クロ(暗)・シロ(顕)・アヲ(漠)は、アカ・クロが明度を、シロ・アヲが彩度をあらわすものに他ならない。「シロ」という色彩語が「顕」の義をもつことが、いまだこの時代には実感として保たれていたのである。

萬葉集

にほへる君

にほへる妹

色彩

identifier:BO010400010431

収録刊行物

  • 文学部論集

    文学部論集 104 21-38, 2020-03-01

    佛教大学文学部

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