共生社会への取り組みに関する研究 : 埼玉県川口市芝園団地での実地調査から

書誌事項

タイトル別名
  • キョウセイ シャカイ エ ノ トリクミ ニ カンスル ケンキュウ : サイタマケン カワグチシ シバゾノ ダンチ デ ノ ジッチ チョウサ カラ
  • The Research of Taking Initiatives for Inclusive Society : Based on a Filed Survey at Shibazono Housing Complex in Kawaguchi City, Saitama Prefecture

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説明

本稿は、現在の日本社会が直面している「外国人との共生」について、外国人集住地域に着目し、地域の中で外国人との共生に向けて、どのような取り組みが行われているのかを明らかにし、その取り組みが抱える課題や限界、可能性を考察することを目的とした。調査として、埼玉県川口市芝園団地での実地調査を行った。中国人住民を対象としたアンケート調査と、芝園団地の住民や活動を行っている人にインタビュー調査を行った。アンケート調査では、中国人住民の特徴や日常生活における住民同士の交流など、暮らしの様子が明らかとなった。主に 30代の中国人住民が多く、その親の世代も子育ての手伝いで芝園団地に暮らしていることが判明した。また、子育てなどで中国人住民同士の交流はあるものの、日本人住民との交流はほとんどないことも分かった。インタビュー調査では、芝園団地の住民や芝園団地で活動を行っている5名にインタビューをし、彼らがどのような思いを抱き、芝園団地を見つめているのかを深く知ることができた。住民同士の関わりを増やしたい、芝園団地をもっと良くしたいという思いを、それぞれ持っていることが分かった。自治会や芝園団地で活動を行っている団体などが、共生への取り組みを行っているものの、現状では未だに共生ができているとは言い難い状況であることも調査を通し判明した。外国人との共生は難しいテーマのように感じるが、身近な人間関係から始まっていると認識することで、無理をせずに自分ができる範囲で、相手を知る接点を作り出すことができるのではないかと考えた。個人や家族、地域全体で、共生社会について考え、試行錯誤を続けていくことが共生社会の実現への重要な取り組みであると結論付ける。

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