昭和10年代「特異児童作品展」と同時代の「能力」言説-試論

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タイトル別名
  • ショウワ 10ネンダイ トクイ ジドウ サクヒンテン ト ドウ ジダイ ノ ノウリョク ゲンセツ シロン
  • A study on the exhibition of works of art by “Tokui- jidou(“idiosyncratic" children)" in the Showa 10s society in Japan

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抄録

type:text

昭和10年代に、知的障害児養護施設八幡学園の子どもたちの作品を「特異児童」の作品として世に問う展覧会「特異児童作品展」が開催された。本論では、この展覧会が発信していた中心的テーマに障害者の「能力」という問題があったことを読み取り、その「能力」にまつわる関心・欲望が当時どのような社会的側面と関わり合うものであったかを次の二点に注目して解明しようとするものである。一つには、「特異児童作品展」の報道記事や反響的議論において「特異児童」の「能力」が論じられていくが、それは、同時代の社会的な優生議論と切り離せない関連性を有していたという点である。もう一つには、そのような「能力」への関心・欲望が、それに先行して昭和10年頃までに社会一般に定着していた「天才狂人説」や、「狂人の絵画」といった通俗的好奇心を継承し土台としていたと考えられるという点である。

source:Studies on Humanities and Social Sciences of Chiba University

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