【翻訳】アンドルー・ゴードン「日本の第三の道」

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  • [Translation] Andrew Gordon, "Japan's Third Way"

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抄録

戦後日本の労使関係は、敗戦直後の革命的予想が支配した時期から1960 年までの激しい労使対立の時代を経て、その後、企業を単位とする協調的組合が主流を占めるようになった。この労使関係のもと、日本経済は高度成長を達成し、世界にまれな企業中心主義の社会を形成した。この中で労使関係はQC サークルのような労働者が企業活動に下から参加する独特な関係とジェンダー分業を含んで展開した。こうした動きは社会民主主義が強いヨーロッパと異なり、また反資本主義的な第三世界とも違って、資本主義企業の強い、競争的社会を形成した。こうした社会形成の条件は後発的発展、敗戦、占領下のアメリカの影響が織りなす社会的文脈にある。 日本の労使関係の研究史は組合の自主性と戦闘性の喪失を批判する立場と経済的達成を賞賛する立場に分かれるが、この論争の外部の観察者にとっての理解の鍵は、日本の労働の多面性を認識することにある。 20 世紀の終わり、日本経済の不振から、英米流資本主義的改革の導入をめぐって、日本的経営に対する議論が展開したが、議論の多くは過去を見誤っているため、戦後20 年間に形成された日本的経営が、景気循環に対応しているだけで、見た目ほどは変化していないことを理解していない。

アンドルー・ゴードン『豊かさの代償』 Andrew Gordon, The Wages of Affluence: Labor and Management in Postwar Japan, Harvard University Press, 1998 第10 章

source:Studies on humanities and social sciences of Chiba University

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