伊藤若冲筆「象と鯨図屏風」考 -十八世紀後半京都における動物対峙表現の意味をめぐって-
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- イトウジャクチュウヒツゾウトクジラズビョウブコウジュウハッセイキコウハンキョウトニオケルドウブツタイジヒョウゲンノイミヲメグッテ
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千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 第279集 『歴史=表象の現在』上村 清雄 編
"The Presence of History as Representation", Chiba University Graduate School of Humanities and Social Sciences Research Project Reports No.279
近世の画家を流派別に捉える姿勢は、今日においても一般的である。そのなかで傍流扱いされていた画家たちを、流派を越えて取り上げた辻惟雄氏は、十八世紀後半に活躍した画家伊藤若冲(一七一六-一八〇〇)などを「奇想の画家」として江戸時代絵画史の重要な一つの系譜として位置づけた。しかし、「奇想」派概念は次第に拡大されてゆき、何をもって「奇想」とするのか曖昧となっている。そこで本稿は、この概念に寄りかからず、若冲晩年の作「象と鯨図屏風」【図1】に焦点を当て、その主題と表現の意味を考察し、この作品に込められた若冲の思想と社会に対する眼差しを読み取ることを目的とする。「象と鯨図屏風」についての専攻研究は、辻氏の研究を中心に、象と鯨モティーフを個々に見て、当時、実見可能な動物というだけでなく、先行する表象が存在することを指摘している。特に象隻は、図像上の特徴について研究が進んでおり、象が仏画によく往生する動物のため、仏画の動物観との関連も想定されている。しかし、作品全体への具体的な影響関係や、主題との関係性については言及されておらず、若冲の独創と捉えられている。したがって筆者は、本屏風の重要な特徴として、鯨隻、及び、六曲一双屏風に異例の二種のみを描き出すという対峙表現を挙げ、これらの分析を行うこととする。
p. 132-133の図版はリポジトリ未収録
source:歴史=表象の現在(2013年度)
Journal
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- 千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書
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千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 279 118-131, 2014-02-28
千葉大学大学院人文社会科学研究科
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050851497150530944
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- NII Article ID
- 120007054480
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- ISSN
- 18817165
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- departmental bulletin paper
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- Data Source
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