心理療法研究におけるポジティブ感情 : 拡張―形成理論とAEDP

書誌事項

タイトル別名
  • Positive Emotion in Psychotherapy Research: Broaden-and-Build Theory and AEDP

この論文をさがす

説明

これまで,ポジティブ感情は,心理療法が成功し変化が起こった結果として現れると考えられ,心理療法のプロセスに変化を喚起する要因としての役割はほとんど研究されてこなかった。その背景には,キリスト教の思想と,病理モデル,そして心理療法の医療分野における発展の3 つがあると言われている。近年,ポジティブ心理学の広まりとともにポジティブ感情を対象とする研究が増え,ポジティブ感情の健康促進的役割について知見が深まりつつある。 Accelerated Experiential Dynamic psychotherapy (AEDP: Fosha,2000)は,「ポジティブ感情の拡張―形成理論」,「ポジティブ感情のエネルギー生産性の理論」などをもとに,ポジティブ感情の治療的役割を理論化した心理療法である。本論文では,まず心理療法理論およびその実証研究においてポジティブ感情がどのように捉えられてきたのか提示する。次に,AEDP におけるポジティブ理論の概念化について紹介する。そして,ポジティブ感情の効用に焦点を当てた面接場面を例として取り上げ,解説する。特に介入初期に着目し,どのような介入が施され,どのようなポジティブ感情が浮上するのかを詳細に考察する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ