テンにおける肺吸虫自然感染例の病理学的所見 (第1報) : 宮崎肺吸虫の成虫による病変について

書誌事項

タイトル別名
  • Pathological Findings on the Lungs of Natural Infection by Paragonimus on Japanese Martens (1) : On lesions by the adult stage of P. miyazakii
  • テンにおける肺吸虫自然感染例の病理学的所見-1-宮崎肺吸虫の成虫による病変について
  • テン ニ オケル ハイキュウチュウ シゼン カンセンレイ ノ ビョウリガクテキ

この論文をさがす

抄録

宮崎肺吸虫の成虫が寄生するテン10例の肺病変について, 病理組織学的に検討を加えた. 肺吸虫症の病理所見に関しては既に多数の先人の業績があり,供試肺の所見は虫嚢並びに虫嚢周囲部の病変を含めて,原則的には諸文献の記載に合致する.ただ供試テンはいずれも感染後の期間がさほど長期にわたるものはないと推定され,そのため病変は比較的新しく陳旧性ではない.すなわち虫嚢壁における結合織増は一般に軽く,嚢壁の薄いものが多い.また虫卵性の病変のうち肉芽腫形成は概して少ない.一方,虫嚢壁の内外及び周囲部(肺胞領域)に出血の傾向が強く,また虫嚢周囲部における気管支系の病変が末梢まで波及するのが目立った.肺胞領域における無気肺や滲出性肺炎はとくに著いものはなく,また増殖性間質性肺炎像は極めて軽微であった. テンは宮崎肺吸虫に感染し易く,その好適宿主と思われる.ただし,供試例の肺病変を見た限りでは,決して病原性が強いとは言えないようである.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ