「子ども」になってまなざす環境 -写真投影法を援用したワークショップ授業の試み-

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  • The World Seen from Children’s Perspectives -Practice of Workshop Using a Photo Projective Method-

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抄録

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本論文では、子どもが自然や身の回りのものをどのようにまなざして経験しているのかを感じ取る感性を養う手立てを探ることを目的として、保育者養成課程においてワークショップ形式の授業を試みた。具体的には、写真投影法(Clark, 2005)を援用し、学生が「子ども」になってキャンパスを探検し、身の回りの環境から、好奇心を表す「わくわく」、驚きや感嘆を表す「びっくり」、畏敬の念を表す「ぞくぞく」のいずれかのテーマに応じたものを見つけて撮影するという活動を行った。その結果、学生が子どもになって環境をとらえようとするとき、第1に、子どもの身体的な特徴に着目し、目線を低くするなど子どもと同様の姿勢を取る工夫をしていたこと、第2に、生き物や車が好きなのではないかといった子どもに対して自分が持っているイメージをまずは頼りにしており、子どもが「美しさ」を感じるというイメージは持っていなかったこと、第3に、一番心が動いて撮った写真は自分自身もわくわく、びっくり、ぞくぞくしながら子どももそう感じるだろうと思って撮ったものが多く、その撮影対象は生き物や植物、風などの自然に関するものであったことが見出された。自然がもたらす偶然で予想外の出来事は、驚きを生み、それを共有する他者と共に思わず前のめりになって環境にかかわろうとする身体や心の動きをわき起こらせ得ると考えられた。

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