「消費者行動研究およびマーケティング研究」と方法 : 阿部と堀越の批判的討論をふり返って

書誌事項

タイトル別名
  • 「ショウヒシャ コウドウ ケンキュウ オヨビ マーケティング ケンキュウ」ト ホウホウ : アベ ト ホリコシ ノ ヒハンテキ トウロン オ フリカエッテ
  • "Shōhisha kōdō kenkyū oyobi māketingu kenkyū" to hōhō : Abe to Horikoshi no hihanteki tōron o furikaette
  • The method in consumer behavior and marketing research : reflecting on the critical debate between Abe and Horikoshi

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抄録

type:text

本稿は, われわれの研究分野で異説争論の範を示した, 「阿部と堀越の論争」を「論理性」に基づき, 批判的に吟味するものである。その論争における両者の意見の相違は, 「帰納を容認するか否か」から派生している。帰納を容認する思考回路は, 「正当化主義がその背後」にあり, 「科学史や対象優位論」を強調すると共に, 「知識の確実性や有用性」を強調する。一方, 帰納を否認して演繹のみを容認する批判的合理主義者の思考回路は, 「非正当化主義がその背後」にあり, 「科学の論理学や方法優位論」を強調すると共に, 「知識の可謬性や迫真性」を強調する。本稿は, 帰納にまつわる問題点を明らかにすると共に, 帰納の非論理性がそれと親和的関係にある議論を強調する際にも転移されていることを示す。帰納は, 「論理」ではなく, 「主観的期待の習慣的強化」に過ぎない。したがって, われわれの研究分野は, 帰納とその背後にある正当化主義から決別する必要があり, それができて初めて「説明・予測・統制」間の相互関連を整合的に考えながら, 最大の課題である認識進歩を科学的に推し進めることが可能となる。

堀越比呂志教授退任記念号 論文

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 63 (4), 251-288, 2020-10

    慶應義塾大学出版会

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