2000年代における日本の労働時間、効率至上主義と経済環境

説明

非農林業雇用者をみると、平均週間就業時間は2000年代を通じて減少傾向であった。短時間労働者の比率は上昇傾向であった。長時間労働者の比率は2000年代前半ほぼ一定を保ち、2005年以降連続して低下した。短時間労働者の比率の上昇の原因は非正規雇用者の比率の上昇であった。長時間労働者の比率がほぼ一定を保っていた原因は企業の雇用の抑制であった。2000年代、効率至上主義というイデオロギーは自明視され、イデオロギーの特徴である普遍化と自然化が極大化されていた。効率至上主義をよりどころとする「国際水準での効率化」という経営戦略も、その納得度や望ましさが極大化され、非正規雇用者の採用の増加と企業の雇用の抑制を強力に推し進めた。効率至上主義と「国際水準での効率化」という経営戦略は、世界的な生産規模拡大、世界的な過剰生産傾向、国際競争の激化、価格低下傾向、利潤率低下圧力といった2000年代の日本の経済環境によって生じたものである。

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