コロナ禍における日本のモスク:感染症対策と支援活動

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抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大につながる三密環境が伴いやすい宗教的活動では, 適切な感染防止対策が求められる. 一方で, 過去の自然災害発生時には宗教コミュニティが被災者へ様々な支援を提供しており, 非常時の当該ステークホルダーの役割は注目されつつある. 本研究は, 厳しい行動制限が課されていない日本において, 国内陽性者が初確認された2020年1月からの約1年間に, 主として在日外国人によって管理・運営されるイスラーム教の礼拝所「モスク」が実施した感染防止対策と支援内容を明らかにする. 対象期間の新聞記事(19モスクについての18記事)と3つのモスク代表者へのインタビューから定性的情報を収集した. 結果として, 早い段階(2020年2月頃)からの集団礼拝の自粛や建物閉鎖, ラマダーン月の大規模イベントの中止, 一部活動のオンラインへの移行の他, 対面での礼拝活動を続ける場合も室内換気や他者との距離の確保など, 様々な感染対策が実施されていたことが分かった. さらに, 自治体へのマスクの寄付, 国籍に関わらずCOVID-19の影響を受けた人たちに対する困り事相談や金銭的支援に加え, マイノリティである在日ムスリムへの情報の翻訳・伝達や食事提供などの様々な支援も実施されていた. 本研究は, ムスリムがマイノリティである社会でのモスクの感染対策実例を示すと共に, COVID-19を含む災害時にモスクが宗教的マイノリティに適切にアプローチできる可能性を示唆する.

[第63回土木計画学研究発表会・春大会(自由投稿型)] 2021/6/5(土)-6日(日);オンライン開催(担当: 東北大学), 6/5(土)Room2-4, ポスターセッション2, P220

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050853719959015936
  • NII論文ID
    120007181752
  • NII書誌ID
    AN10549764
  • HANDLE
    2433/267196
  • ISSN
    09134026
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    conference paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles
    • KAKEN

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